4.基礎・構造 (5.断熱性能  6.耐震性  は下へスクロールして下さい)


A. 基礎
 言うまでもなく、建物にとって基礎は一番重要なものです。
上部の構造が、いかに強くても、基礎が弱くては、地震時に耐えることができません。
強い基礎を造るにあたって、まず、地盤の強度調査をする必要があります。
田んぼを埋め立てた土地かどうかなどを調べます。
調べ方は土地の登記簿謄本の地目の変更経過を調べたり、近くに古くから住んでいる人に聞いたりします。
それでも心配な場合は、軽微なボーリング調査をします。(スエーデン式ボーリング調査と言う工法が良い)


 住宅の基礎には主に、布基礎とベタ基礎とがあります。
地盤の硬さによって、基礎の形状は変わりますが、耐震性や防蟻対策などから、どのような地盤でも、ベタ基礎とすることを推奨します。
布基礎とベタ基礎とは、価格的に大差ありません。
ベタ基礎には、勿論、鉄筋を入れます。ベタ基礎の底盤部分にもダブル配筋を入れます。配筋方法は公庫仕様書を参考にします。


 床の高さは、60cm以上にして(建築基準法は45cm以上)、床下の通気を充分とります。家の一方から反対側に向かって空気が抜けるように換気孔を配置し、中間の仕切りで床下の空気を妨げないようにします。
又、メンテナンス上、1ヶ所の入口から床下のどの部分にも行けるようにしておきます。


 床下のシロアリ対策として、シロアリ駆除業者に依頼して、床下に駆除剤を散布する方法がありますが、駆除剤には劇物のクロルピリホスをはじめ有害な殺虫剤が含まれていますので、この方法は絶対に止めて下さい。
ベタ基礎にして、床下の換気を充分とり、常に床下を乾燥した状態にしておけば、シロアリの被害を受ける心配はありません。
 コンクリート基礎の上に置く土台は、防腐防蟻対策として、クレオソートなど有害なものを使わず、ヒバ油や木酢液を塗布します。



B. 構造

 木造住宅と鉄筋コンクリートのマンションに住んでいる人の寿命を比べると、木造住宅に住んでいる年も人の方が9年も長いと言うことは、最初に述べましたが、又、別のデータもあります。
木材とコンクリートと金属で作った三つの箱の中に、マウスを入れて、その生存率を調べてみると、気温25℃の時、10日目で、木製の生存率は87% 金属製 42% コンクリート製で 7%と言う実験結果があります。
このようなことから、住宅の構造は木造として下さい。

 木にはすばらしい特長があります。

  1. 調湿機能がある。室内の湿度を吸ったり、吐き出したりして、ほぼ一定に保つ性質があります。
  2. 断熱効果に優れている。コンクリートに比べて木の断熱性は17倍も高く、温もりを感じます。
  3. 木はしなやかで、適度な弾力性があります。木の床は足にやさしい(コンクリートの床と比べて下さい)
  4. 木は音をよく吸収し(コンクリートの2〜4倍)まろやかにします。
  5. リラックスさせる物質(フィトンチッド)を分泌します。
  6. 木の香り成分のフィトンチッド(精油)に防虫作用があります。この精油がダニの繁殖を抑制します。

このような優れた特長をもつ木材を使わない手はありません。
木造住宅の居住性の良さの秘訣は、これらの木材に備わった特長から生まれるのです。
 しかも、木材は再利用が出来、廃棄すれば土に返り、植林で再生産しやすく、まさに理想的な循環型資源なのです。


 木造住宅の構造は、次のように3種類あります。  

通称 構造方式
木造住宅 在来構法 軸組構法
ツーバイフォー 枠組壁構法
プレファブ 木質パネル構法
 

 この中で、在来構法が健康住宅として最も適していますので、在来構法を推奨します。
在来構法で必要な壁量を取った建物は、阪神淡路大震災でも倒れなかったと言うことが証明されています。
これについて詳しくは 6.耐震性 で説明します。    



5. 断熱性能


 最近、「内断熱」より「外断熱」が良い、と言うことを耳にされたことがあるでしょうか。
確かに、コンクリート造の場合は、「外断熱」が良いのですが、木造の場合は、「外断熱」にする必要はありません。コンクリート造の「外断熱]と言うのは、コンクリートの外側をすっぽりと断熱材でおおいます。これによってコンクリートという蓄熱体が、外気温により熱せられたり、冷やされたりするのを防ぎます。
 木造住宅の場合は、木材自体がある程度の断熱性能を持っているので、木造の柱の間に断熱材を充填する「充填断熱」で充分です。
木材の最大効果は、「木は呼吸する」といわれるように、それ自身が湿気を吸ったり、吐いたりする機能があることです。木造住宅の「充填断熱工法」は、この木材の特質を活かした工法であると言えます。


 現在、断熱に使われている材料としては、グラスウールやロックウールと言った繊維系のものや、セルローズファイバーやインシュレーションボードなど木質繊維系のもの、そしてポリスチレンや硬質発泡ウレタンなど発泡プラスチック系のものなどがあります。


グラスウール・・・施工時にチクチク刺さってかゆくなる。
        肺に吸い込んだ時、アスベスト同様、肺ガンの危険があると言われている。
        吸水性が大きく、水を吸うと断熱性低下するなど、欠点が多いので使用しない方が良い。
ロックウール・・・天然に存在する活性炭からつくられる。
        鉄鉱石やステンレス製造の残滓と言った廃棄物からつくられることも可能なリサイクル材である。
        そのため、地球環境と言う観点からは、良い素材と言える。
セルローズファイバー・・・木材から抽出されるセルローズ繊維を原料とした100%天然素材の断熱材です。
        木質繊維なので吸湿、放湿性があり、又、吸音性にも優れている。
        製造中や廃棄後の環境汚染が少なく、地球環境に負荷をかけない。
現場発泡ウレタンフォーム・・・代替フロンガスを使うので、オゾン層破壊など環境に悪影響を与える。
        燃えると青酸ガスなど猛毒ガスを出す。
        使いたくない断熱材である。

開口部の断熱
 窓など開口部全体から逃げていくエネルギーのロスは、住宅全体の4割程度もあると言われています。
 この熱損失を防ぐために、ペアガラスを使うのが好ましい。
 ペアガラスは、防音効果も大きいです。



6. 耐震性

 「阪神淡路大震災」では、瓦屋根の家が弱かったとか、プレハブやツーバイフォーの住宅が強かったなどの報道で、在来構法は弱いと言う印象を持たれた人も多いと思いますが、被害にあった住宅の多くは、戦後から高度経済成長期に建てられた粗悪な建て方の住宅ばかりなのです。
決して軸組構法が弱かったわけではありません。

 現在、木造の耐震設計は、耐風設計とともに、いわゆる壁量計算と言う便法によっています。
これは、床面積によって、地震荷重を代用し、壁の長さによって、水平耐力を代用すると言う方法です。
 この方法によって、しかるべく筋かいなどの入った耐力壁を配置し、あわせて、接合部をきちんと固めれば、強い地震に対しても倒壊すると言うようなことは、まず起こりません。

 木造軸組構法での耐震対策上の要点を述べますので、これに基ずいて、構造設計をして下さい。

  1. 簡単な地盤の強度調査を行う(4. 基礎・構造参照)
  2. 木材は太めの、しかも長持ちしそうなものを使うこと
  3. 木材の接合は釘、ボルト、羽子板金物、帯板、その他の金物を充分使うこと
  4. 建物全体の形(平面図の外周りの線)はなるべく単純なもの(長方形など)にすること。これは地震の時建物がねじれるのを防ぐためです。
  5. 耐力壁(筋かいの入った壁など)は、東西、南北両方向ともに、壁量計算以上の量を、しかもバランスよくいれること。
  6. 基礎はベタ基礎で、鉄筋を入れること(4. 基礎・構造参照)
  7. 基礎の換気孔は充分確保し、床下、壁の中、屋根裏も風通しがよいようにする。


  トップページへ戻る     前ページへ戻る     次ページへ進む