7.内外装仕上材 (8. 設備 9. 法規 は下へスクロールして下さい)
壁・天井仕上材
現在使われている壁クロスと言えば、ほとんどが塩化ビニールクロスです。この塩化ビニールをクロスのように柔らかくするために、可塑剤が使われます。この可塑剤が環境に悪いホルモンを発生させます。
可塑剤のほか、防カビ剤、安定剤、発泡剤などの化学物質が含まれていて、室内の空気を汚染します。
又、クロスを貼る接着剤にもホルムアルデヒドが含まれており、呼吸器系、神経系の疾患を引き起こすことになります。
壁、天井は家の中で、最も広い表面積を占めますので、たとえ単位面積あたりの汚染物質放出量は少なくても、全体として大きな影響を与えます。
このようなことを防ぐために、壁、天井の仕上材としてはの使用を薦めます。
- 綿や麻の天然素材でできた壁紙
- 有害な化学物質を含まない和紙
- 天然のムク木材
- しっくい、珪藻土などの塗壁
又、壁紙を貼る接着剤は
- ノンホルムアルデヒドのデンプン系の接着剤を使用します。
床材
フローリングはホルムアルデヒドの放散量に関するJAS規格(2000年6月改正)によって、放散量の少ない順に FC0 FC1 FC2 の3段階に分類されています。放散量が最も少ないFC0 のフローリングを使っても、使用床面積が大きい場合、夏場の気温の高い時は、多量のホルムアルデヒドが放散される可能性もあり、危険です。
安心して使用できる材としては
- ムク板フローリング
- コルク床材
- 天然素材を原材料としたリノリュム
- 天然素材の敷物(籐、竹、麻、ヤシ・・・等)
畳
ワラ床(ワラを使った畳床)に防虫処理がされているので、有害な有機リン、ピレスロイドなどをふくむものがあります。
安心して使用できるものとしては
- 健康畳(無農薬畳、中国産の有機稲ワラ畳)
- エコ畳(備長炭畳、炭化コルク畳、ココヤシ畳、ヒバ畳)
- 健康ひのき畳
などがあります。
又、いわゆるボード畳(インシュレーションボードを畳床に使ったもの)を採用するのも無難です。ただし、インシュレーションボードのホルムアルデヒド放散量については、確認しておく必要があります。
塗料
塗料の溶剤によって室内の空気が汚染されて、健康に害を及ぼします。
そして塗料は表面仕上げに使用しますので、特に注意が必要です。
したがって、塗料については、自然塗料がふさわしい。
自然塗料と呼ばれるものは、主成分、溶剤、添加剤の全てが植物を中心とする天然系の原料から成っています。
- 天然系塗料
- ナチュラルウッド
- 柿渋
- 漆(うるし)
などを使用します。
8. 設備
21世紀を迎えて、人類に大きなツケが回ってきました。
1つは、CO2に起因する地球環境問題であり、もう1つは、化石燃料の枯渇問題です。
そこで、これからの設備は、いわゆる ”エコ設備” というものを、積極的に取り入れることが望まれます。
”エコ設備” とは、自然のエネルギーを有効に利用したり、省エネルギー機器を導入して、使うエネルギーを減らすことにあります。
自然エネルギーには、太陽エネルギー(光、熱)のほか、風力、水力、波力、潮汐力、海洋、地熱などいろいらります。
しかし、残念なことに、まだまだ住宅の設備として取り入れるには、開発が進んでいません。
とりあえず現状で使用できるものをあげてみます。(この項は後日、どんどん更新します)
太陽熱発電システム
太陽エネルギーは、自然条件に左右される不安定さはありますが、エネルギー量は膨大で、かつ、無尽蔵に存在し、地球温暖化や資源の枯渇等の問題解決の切り札として、大きな期待がかかっています。
近年、太陽電池メーカーの努力により、太陽光発電システムのコストダウンが図られ、発電コストも 1KW/h当たり 60〜80円程度まで下がってきました。しかし、それでも現行電力料金の2〜3倍であり、依然割高です。
一方、経済産業省の補助金も、年々減額されており、2002年度には、補助金制度の終了が予定されています。
それでも、地球環境を守ると言う大きな観点から、是非、検討して下さい。
雨水利用システム
屋根に降り注いだ雨水を貯水タンクに貯めて、草花への散水や、洗車などに利用するシステムです。
雨水を排水管に導くルーフドレインからステンレス製のたて樋、雨水の汚れを浄化する雨水濾過器、雨水を貯めておく雨水タンクまで、トータルでサポートしている製品があります。
9. 法規
住宅に関する法規としては、主に建築基準法(以下基準法)、住宅の品質確保の促進等に関する法律(以下品確法)、住宅金融公庫規準(以下公庫規準)等があります。
基準法は日本の建築法規の基本であり、これを守らない住宅は、建築できません。又、基準法は建物の構造、性能などの「最低の規準」を定めているものです。
品確法は平成12年制定の新しい法律で、住宅の性能を等級で示そうとするもので、規準法と同等でよい部位もありますが、当然、下回るものはありません。
公庫規準は「木造住宅工事共通仕様書」を見れば、よく解ります。又、基準法もいろいろの本が多くありますので、ここでは、品確法について解説します。品確法はあくまで任意の制度であり、規準法のような強制力はありません。でも、積極的に活用することによって、高品質の住宅を得ることが出来ます。
品確法の骨子
1. 住宅性能表示制度の創設
2. 住宅に係る紛争処理体制の整備
性能の評価を受けた住宅に紛争が起きた場合、紛争の処理体制を整備し、紛争処理を円滑化、迅速化する。
3. 瑕疵担保責任の特例
本サイト作成のため下記の図書を参考にしました。
「納得して建てる木造住宅」 岩尾 務 著 ブックハウス
「こうして直すシックハウス」 船瀬俊介 著 農文協
「人にやさしい自然住宅のつくり方」 荒木美由樹著 山下出版
「この本を読んでから建てよう」 山本順三著 三一書房
「地震に強い木造住宅」 坂本 功 著 工業調査会
「その家ずくり、ちょっと待った!」 中野 博 著 PHP
「健康な住まいを手に入れる本」 小若順一、高橋元編著 コモンズ